京都は着倒れのまちと言われますが、この着倒れ文化を影で支えてきたもののひとつがみすや針です。
きらびやかな貴族の衣装から庶民の晴れ着、普段着まで衣類のほとんどがこのお針さんで作られてきました。
京都のひとびとは西陣織や友禅染といった京都ならではの上質素材を使い、晴れの日の着物を仕立てる。縫い人は、纏う姿に想いを馳せながら、ひと針ひと針縫い上げる。ここには、日々の生活を質素に押さえてまで衣装に財を費やす京都の美意識があります。みすや針はそうした美意識に応える針でなければなりませんでした。
それは縫い人の負担を少しでも軽減し、縫いやすい針であること、折れたり曲がることの少ない丈夫な針であること、そして素材を傷めない針であること、素材の良さ(光沢、柄、張り)を引き出す縫いを行えることでした。このどれかひとつでも欠けてしまうと、縫い人の想いを汚し、纏い人の晴れ姿を台無しにしてしまうのです。
たかが針と思われる方も多いでしょうが、こうした気構えで忠兵衛号のみすや針をおつくりしてまいりました。


日本の服飾文化から、みすや針の基本は着物つまり和裁用のお針さんといえます。時代の流れによってファッションは和装から洋装へ、趣味の分野ではパッチワークや刺繍など針用途は変化してきました。これに合わせて、さまざまな針仕事が生まれ、縫い人たちの想いも多様化してきました。。
わたしたちは伝統を守り継ぎながらも、改良を行う、新しいお針さんを考案するといった取り組みを行ってまいりました。現在では洋裁に適したメリケン針、パッチワーク用のお針さんなど、さまざまな用途に適したお針がございます。
いかなる針仕事であれ、用途に合わせたお針をご用意させていただく、愉しみながら想いを紡いでほしいと考え、縫い人の想いに応えるお針を作りあげております。

