2.まん丸のフォルム - 針穴

1.しなやかな身体 - 折れず曲がらぬ胴体


最後の工程であるお包までひとの手と目で行っております。
それは包むときに一本ずつ鋼の焼き具合や仕上げの良否を検査するためです。縫うときに少しでも支障があると思われるお針を、すべて取り除きいておりますから、1包25本をほとんど不安なくお使いいただけます。
お包は針を最適の状態で保管できるように、湿気を防ぐアルミ箔にお包してみすや忠兵衛の屋号包に納めております。

5.一本選り - お包

みすや針の針穴は、極限まで正円に近づけています。細い鋼の胴体にどれだけ大きな穴を開けることができるか、これも針職人の腕の見せどころです。そしてこの小さな針穴の内側まできれいに磨きあげ、滑らかなまん丸のフォルムに仕上げます。
針穴が大きいほど糸は通りやすい。そして丸いフォルムは糸通しのときの糸先の割れを防ぎます。また針穴が丸いということは、糸の太さと均一になることですから、糸遊びが起こらず、針仕事の途中で糸がよじれることもありません。針穴と糸がぎりぎりに接していますが、内側を滑らかに磨くことで糸切れを防いでいます。
針の素材は鋼。この強固な素材の縫い針は、堅いばかりでは役にたちません。縫うときの針の運びにしなやかな弾性が要求されます。そしてしなやかさの中にも腰の強さがなければなりません。もちろんすぐ折れたり、曲がるようでは縫いにくい針となってしまいます。堅いということはもろい欠点をもち、しなやかということは曲がる欠点をもっています。ひとつのものに、正反対の性質を兼ね備えるということはとても大きな問題です。この難題を解決する方法を焼入れ法に見出し、今日まで続く伝統針となりました。
堅さとねばり、いぶし銀の重厚な輝きが、忠兵衛のみすや針といえます。

平安時代から受け継がれてきたみすや針。
ここでは、みすやの屋号を掲げる中でもみすや忠兵衛のみすや針
についてご紹介いたします。

美しい針のシルエット、それは針穴から針先に向かってなだらかに細くなっている姿と考えます。
針先が極端に細くなる姿では、生地に抵抗が生まれ、布目に傷をつける(生地の織糸を割ってしまう)原因にもなってしまいます。なだらかに細くなる姿だと、生地の抵抗をほとんど感じず、運針が大変スムーズです。

3.なだらかなシルエット - 針先

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針づくりの製作では、表面を磨きあげる仕上げ作業があります。現在一般的な磨きは横磨きですが、みすや針は縦磨きで仕上げてあります。横磨きならば、ローラーで効率よく磨くことができますが、針入れの方向に対して直角に磨くことになりますから、生地の抵抗を生む磨き方といえます。一方、縦磨きを施すと針入れの向きと同じ方向に肉眼では見えない繊細な縦筋が入ります。実はこの微細な縦筋がガイドとなって、生地の進みがよくなるように仕上げられているのです。この磨きは肉眼で見えるほど荒くてはだめ。生地を痛めるような均一感のない磨きでもだめ。まん丸の胴体が変形しないよう、均一に0.00ミリ単位で磨きあげなければなりません。 ぐっと息を止めて、まっすぐ一定の力加減で磨きあげ、いぶし銀の照りを出す。磨き作業は、熟練の針職人でも呼吸ひとつ緊張する作業なのです。

4.繊細な模様 - 縦磨き


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